新型コロナウイルスの流行に伴い、各都道府県で店舗に時短要請をするケースが増えています。
主な対象はアルコール類を提供している飲食店などですが、夜間の営業を20時頃までとするケースが多いです。
第一波のときは多くの店舗がそれに従っていましたが、第二波や第三波になると従わない店舗も増えてきました。
これは過剰な営利を得るために無視するのではなく、生き残るための決断としてやむを得ないというケースが多いです。

一年の中で最も儲かる12月の時短営業は致命的

特に一年の中で最も儲かる12月の時短営業は致命的になりかねません。
これからの経済回復が約束されているなら、それでも何とか従おうとする店舗もあるでしょう。
しかし、実際には新型コロナウィルスの騒動がいつ終わるのか分からない状況です。
そのため迷った挙句、営業を続けるしかないという店舗もたくさんあるのです。
2020年の10月には、例年と比べて3割以上も売上がダウンしたという店舗が多くありました。
3割もダウンしていれば経営を続けるのは難しく、ましてや時短要請を乗り切るのは非常にハードルが高いです。
その苦境を乗り込めるために工夫をしている店舗も少なくありません。
たとえば客を迎え入れるスタイルではなく、オンラインで受注する方式に切り替えたところも見受けられます。
テイクアウトしやすいように、容器やメニューを見直したという話もよく聞きます。
例年とは比べものにならない程の努力をしているのですが、それでも倒産や廃業が続出している現状があるのです。

政府に対する不信感

国も時短要請するだけでなく、補助金や給付金を支給していますが、それだけでは全く足りないという経営者が大半です。
協力金という名称の場合もありますが、いずれにせよ経営への打撃をカバーするには至りません。
従業員の給料や店舗の家賃を支払えなくなることでピンチに陥るというパターンが定番です。
政府もできる限りのことはやっているという声もあります。
ただし、それよりも不信感のほうが大きく、時短要請を素直に受け入れにくい原因にもなっています。
2020年の末ごろ、国民に自粛を呼びかける一方で首相が会食をしていたことが報じられました。
あまりに国民の感覚とずれており、まるで自分たちは特別と言わんばかりの行動です。
謝罪をしましたが、それに納得した国民がどれだけいたことでしょう。
その他に、常に対応が後手に回っていることも影響しています。
たとえば、新型コロナウィルスの変種が国外で発見されてからも、しばらくは海外からの入国を制限しませんでした。
ようやく制限したときに、首相は「先手で行う」という趣旨の表現を使ったのですが、遅すぎではないかと非難の声が多く上がりました。
このような状況でも国会議員の数が減ることもなく、多額の給料が支払われ続けています。
自分たちが痛みを負うことなく、民間の店舗に時短要請しているという実情があります。

助成金や協力金の対象が一部の業種に限られている

また、助成金や協力金の対象が一部の業種に限られている点も問題です。
飲食店やホテルに支給するのは納得ですが、それ以外の業種もかなりの被害を被ることになります。
たとえば観光地のタクシー会社は、顧客が平常時よりも圧倒的に少なくなることでしょう。
食材を提供する農家も困りますし、それらの店舗で消費する道具を納品する卸売り業者も売上が下がってしまいます。
つまり、時短要請によって間接的にダメージを受けるケースも多く、それに伴って倒産や廃業するところも多いというわけです。
大手の飲食店やホテルが真っ先に契約を解除するのは個人で営んでいる業者です。
助成金や協力金も得られないまま、メインの取引相手を失ってしまうと立ち直るのは困難でしょう。
税金から支出されることに対して不満を述べる国民も珍しくありません。
いくら国難とはいえ、自分と無関係の業種に次々と税金が投与されることを快く思わない人もいるのです。
ばらまきに近い感覚で配布している給付金もありますが、いずれそれらを回収するために増税が行われるでしょう。

税金を投入するにしてももっと計画的に賢く実施してもらいたい

新型コロナウィルスの影響が少ないサラリーマンなどは、本音ではあまり税金を使ってほしくないと感じていても不思議ではありません。
たとえ税金を投入するにしても、もっと計画的に賢く実施してもらいたいという人も多いです。
これからも新型コロナウィルスの脅威が続くのは確実なので、先を見据えた取り組み方が求められています。
さらに、営業時間を短くすることに対して効果があるのか疑問視する動きもあります。
もちろん正確なデータを出すのは難しいので仕方がない一面もありますが、それでも我慢することで得られる効果を国民にできるだけ詳しく説明してほしいところです。
それが叶えられない現状においては、要請には従わないけれど、感染予防対策を行ったうえで粛々と営業する店舗が目立ちます。
誠意を持って営んでいくことが、自分たちに行える貢献だと考えているのです。
客から信頼を得て集客のダウンを防ぎたいという願いがベースとなっています。